制空の部屋

空母の時代は終わった、競馬の時代だ

制空を構成する要素とは?

前回の記事で制空論の概略、制空型と火力型の構想の違いについての説明をしました。
本記事では一旦制空型・火力型の違いは置いておいて、制空に関する構成要素とその影響を述べていきます。

まずはじめに、筆者が考える制空の要素は下記のとおりです。

・水上艦の位置とヘルス
航空母艦の位置
・エリアの占領状況(通常戦を除く)
・哨戒戦闘機の有無とスキル構成

もっと細分化することも可能ですが、とっかかりとしては上記4つの性質の違いについて理解することが大事だと考えます。また、実際の戦場については上記の要素が互いに関係し複合的な考えをする必要がありますが、実戦のマップを使用した例については今後書いていく予定です。

各要素の解説の前に、読者の皆さんは「制空権」という単語を聞いたことはあるでしょうか。広辞苑では「領土・国家の権益を保護するため一定範囲の空中を支配する権力。主として空軍力による。」との記述があります。このゲームに落とし込むとすれば「艦載機が作戦遂行可能な空域を確保する力」でしょうか?
先述した4要素はまさにこの制空権を正方形のマップ上で確保する上で干渉しなければならない要素となっています。ではいかに具体的な内容を説明していきます。

 

・水上艦の位置とヘルス

これを第一に考える理由ですが、少し細分化すると3つの要素があり①対空砲火力の保有、②艦載機中隊の発見能力を有する、③継続的な砲戦火力の保有、と分けることができます。これ以上の細分化はここでは控えます。

①対空砲火力について:このゲームでは有効射程が決められており、継続ダメージについてはその艦艇を中心として半径内へ侵入したかどうかでパラメータが決定されます。一般的には短/中/長でそれぞれ作動する対空砲が設定されており、この合算値と消耗度、消耗品、UG等で最終的なダメージが産出されます。またこれとは別に対空砲が引き起こす爆発も存在し、これは爆発発生の中心からの艦載機の距離で関数的にダメージが決定されています。
詳しいダメージ量はどうでもいいのですが、対空砲を被弾する=艦載機が消耗するという図式はごく当然のことであり、長時間の滞留は撃墜、最終的には中隊の全滅に繋がります。哨戒戦闘機についても同様ですね。すなわち攻撃敢行の際のやむを得ない侵入を除けばできる限り空母プレイヤーとしてはこの敵艦の周囲を避けて艦載機を操作する必要性があります。言い換えれば、水上艦はその存在だけで味方に対する制空領域を形成できるわけです。つまり敵・味方それぞれの水上艦の位置はおおまかな制空領域の可視化とも取れますね。


②艦載機発見能力について:敵攻撃中隊および哨戒戦闘機についても水上艦より発見が可能です。一部例外を除いて艦載機の発見距離は10km(隠蔽UG込みで9km)ですので、攻撃を事前に察知する能力を有します。普通に空母をプレイしている分にはそこまで気にならないかもしれませんが、敵空母が防空の意識を有する場合にこの艦載機をどのタイミングで見られるかで反応時間が変わり、攻撃対象前に防空されるのか、あるいは往復攻撃の余裕まで生まれるかに繋がります。試合終盤なんかはこれも馬鹿になりません。


③継戦火力について:これはヘルスの残量によって大まかな対空砲の消耗度がわかるほか、その戦線を維持可能かということにもつながってきます。例えば対空砲が最強の性能だとして、常に被発見状態でヘルス残量も4桁となればその艦艇は後退せざるを得ず、結果的にその艦の制空領域は後退しますし、逆にヘルスが10万ある戦艦であれば多少対空砲が弱くても長時間の戦線の維持、ひいては制空領域の拡張も可能です。
また、水上艦の心理的にも残ヘルスが少ない状態での孤立というのは避けたいため、基本的に空母戦場での消耗は外周への展開やエリア占領の抑止にもつながります。うまくはまれば敵が密集するため互いの制空領域が被り、艦載機の自由度が上がります。(攻撃を通しにくいというのはまた別の話)

上記のように、水上艦の状態というのは艦載機の自由度に大きく影響し、またマップ上で可視化もできるためかなり比重が大きいものとなります。試合終盤や少数マッチで空母の影響力が大きくなるのも、この要素に依るところが大きいかと思います。

 

航空母艦の位置

航空母艦に関しては先述した他の水上艦と同様に対空砲火力と艦載機発見能力を保有しています。ただ他の艦艇と異なるのは「能動的に哨戒戦闘機を呼び出すことができる攻撃中隊を発艦可能」という点です。
実戦で考えますと、空母が残ヘルス5000の味方艦艇を守るとした場合に、その母艦からの距離が10キロの場合と30キロの場合では敵の攻撃に対してのリアクションを行う時間的余裕が違うことは理解できると思います。戦闘機で護られた艦艇への攻撃はそれなりの艦載機消耗を伴わせる、または事前の抑止につながるため距離感を適切に保つことで防空が効果的に機能します。逆に、瀕死の敵艦艇(味方水上艦からの砲撃が届かない)場合の撃沈の可能性についても影響します。前述の逆で、回復が入る前に落とし切るための攻撃敢行への時間もそうですし、何よりDPMの向上につながります。
このように攻守両面において、航空母艦の位置取りは制空領域の確保に影響します。試合終盤において手慣れのプレイヤーほど母艦を前進させるのは、先述した空母の影響力が相対的に上がり、また被弾リスクも減少することで前進させ制空領域を拡張することのメリットが勝ると判断しているからです。

 

・エリアの占領状況

占領エリアというのは対空が強まるわけでもなければ艦載機が見られるということもないのですが、制空を語る上では欠かせない要素の一つです。
理由は次の二つで①基本的に駆逐の大多数は序盤に占領エリアへの侵入を試みる傾向にある、②中立状態、または味方が占領済みのエリアに敵駆逐が侵入した場合にそのタイミングが視覚的に分かる という2点です。

まず、①ですが、試合開始とともに駆逐艦はエリアに向かうことがほとんどだと思います。(例外ももちろん存在しますが)試合序盤においては行動に各艦艇の役割という固定観念が枷となる場合が多く、その結果敵との接敵タイミングを予測することが容易になっています。空母の場合は艦載機の被発見状態も利用することで、エリアに接近する駆逐艦の位置を点で特定することができてしまいます。
②について、敵が占領エリアに踏み入ったタイミングが可視化できるということは、その時点でエリア端のどこかに存在しているということの証明であり、通常時に比べ発見が容易であるということです。

上記2点から空母としては、占領エリアについて中立状態または味方の占領状態を可能な限り維持することが索敵および制空、特に対駆逐に対して有効となります。エリアの状況については味方との共有も可能なため、高ティアでは発見レーダーなどの消耗品による発見も望めるため、その配置に到達できない初動での艦載機による中立維持・占領達成は特に重要となります。

 

・哨戒戦闘機の有無とスキル構成

哨戒戦闘機については①攻撃中隊より召喚される、②航空母艦より自衛のために発艦する、の2通りが存在しますがここでは①について論じていきます。
まず先述しましたが、敵哨戒戦闘機が飛行している領域での攻撃については多くの損耗が伴います。哨戒戦闘機の使用ですが、T10の場合標準でアクション半径3.5km、反応時間6秒、召喚時間6秒+動作時間84秒という性能になっています。反応時間は敵航空機がアクション半径内にその時間留まった場合に、戦闘機が迎撃態勢に入るための必要時間となります。
この仕様から、通常の場合には敵の艦載機攻撃を察知した場合に、最低でも召喚時間+反応時間の12秒を要することになります。スキルをとっても11秒が最短です。(超空母除く)すなわち防空の観点から言えば敵に対し先手を取る必要があり、基本的に空母戦は攻撃側有利ということです。ただ、いったん召喚した領域については、攻撃までの必要時間を考慮すれば敵艦載機の消耗の期待度は非常に高いものとなります。
哨戒戦闘機に関与するスキルとしては、実用的なものとしては2ptの「偵察機リーダー」(回数+1回)、4ptの「強化型反応速度」(召喚時間+50%、反応時間-80%、動作時間+25%)、そしてUG5スロットの「艦載機消耗品改良」(動作時間+50%)となります。フルで強化すれば3×4回の紹介戦闘機を動作時間112.5秒で展開することができ、振り切ればスポット・防空の両面でかなりの時間効果を発揮することが可能になります。特に防空面を考慮した場合、敵艦載機の消耗だけを考えるのであれば取得の必要はありませんが、攻撃前での撃墜を狙う場合には取得をする必要性が高いものです。初動の戦闘機召喚でスキルの有無を判断することで、敵の戦闘機への意識を計ることもできるため、可能であれば初動で観察しておきたいところです。これを知ることができれば、自分が制空に対してどの程度のリソースを割くべきか判断できます。

 

以上4点が、制空を構成する要素とその大まかな内容です。最初にも述べましたが実際の戦場ではこれらが複合的に関与するため、戦況を観察しつつ行動を判断する必要があります。不慣れな方は特に①と③を意識すると、とっかかりとしてはよいと思います。

少し長い記事になりましたし、何日かに分けて書いたのでよくまとまっていませんが今回はここまでとします。