制空の部屋

空母の時代は終わった、競馬の時代だ

制空領域を意識した戦線管理について

今回は戦線管理について

 

まず、これは空母に限らずWoWSの全艦種を使うにあたって必要な判断になりますが、その方面において敵と味方のどちらが優勢かについて見極める必要があります。優勢といっても火力優勢(ヘルス)、視界の有利不利や占領エリアに関してなど様々です。

一つ一つが複雑に絡み合って戦線というものが出来上がるため、多くにフォーカスを当ててしまうと理解が難しくなってしまいますので、ここでは「制空領域」を基にした戦線の味方を書いていこうかと思います。

 

・なぜ制空領域で判断するのか?

これは単純に空母の裁量において変更できる要素が大きいからです。
例えば、「単純な火力優勢(ヘルス差)」とした場合、味方艦の狙う相手(命中率や貫通期待値)、回避の上手さなどどちらかというとその方面のプレイヤー技量・判断に左右されがちです。(空母の火力は継続的なものとしてみた場合決して高くありません)

制空領域は、(少なくともティア10以上の空母を扱う際には)自分のみに哨戒戦闘機と複数種の攻撃中隊の操作権があるため、基本的に空母手動での構築になります。

 

戦線を上手く考慮しつつ展開した試合については、筆者の過去動画に良い例がありましたのでご参考に。

nico.ms

 

・制空領域の概念と判断について

まず制空領域について、この記事においては下記の要素を軸にして考察していきます。
①味方・敵水上艦の対空砲射程圏
②高隠蔽艦の(現実的な)行動範囲
航空母艦の配置

 

これを意識するにあたって、巡洋艦の対空距離」と、「巡洋艦が対空隠蔽=対空砲射程か否か」については必ず記憶してください。(MMする可能性のあるすべての巡洋艦
戦艦の対空はたまに6.6kmのものが居ますがほとんどは5.8~6.0に収まり対空隠蔽もよくないため覚えなくてもさほど問題ではありません。強いて言うならAA持ち戦艦は覚えるくらいでしょうか。

制空優勢下の戦線の完成系は
・面押しの成功
・L字・コの字包囲の成功
のどちらかです。どちらが最適化はその試合次第なので分かりません。

 

これより実践のミニマップを交えた解説です。
※戦線については時間経過に伴う変化の可視化が必要なため、同じ試合について複数枚の画像を使用します。
※実際の戦闘は残ヘルスを含めた思考が必要ですが、複雑になるので今回は全員8~10割のヘルスと想定します。

 

ポイント:制空領域において赤を敵側青を味方側で示します。基本的に空母が有効な攻撃を行えるのは制空領域の空白地帯、または境界線付近です。戦闘機については空白地域または自軍の領域での展開(使い捨ての強行スポット除く)を行わなければほとんど役に立ちません。

 

1試合目~味方のプッシュ側に合わせて切り崩し

まず上記は試合開始4分時点でのミニマップです。そこまでラインは高くなっていません。ただ戦力分散の関係上Aの正面の撃ち合いでは味方に不利があると思われます。
C側は駆逐の位置も干渉しておらず、また外を取られかけているもののルプレヒトでは火力的な怖さは少なく、ある程度大丈夫と判断します。
上記の画像を制空領域で可視化するとおおよそ以下のイメージになります。

真ん中が空く=両サイドに敵が集中しているとも言えます。
制空領域的に気になるのはC外のスペースですが単独とはいえハランド相手、そして巡洋艦がペトロで砲旋回が遅いためスポットしても有効打はそこまで見込めないでしょう。A側は外を取れていないものの敵のメクレンが遅れており、また中央からベネチアクレムリンの進出が見込めます。この地点は序盤では不利な展開が多いのですが、今回敵戦艦が大外に回り切っているため大打撃はもらわず、Aへのアプローチが可能ですので、切り崩す方向としてAサイドを選択しました。

制空的な観点からの動きとしては
・中央が開けているため、クレムリンの過度な消耗を防ぐために防空を行う
・Aサイドへの継続的なスポット支援・航空攻撃
を行うとスムーズに展開します。

 

(上画像)これはその2分半後の戦況です。クレムリンのプッシュによって敵A内のジナンが撃沈、また島風も射程圏に収めました。不利を察して敵戦艦2隻は下がっていきます。CサイドではハランドもC内で補足、またスペースを埋めるように味方マルソーが外側へ展開し戦線が戻りました。

 

(上画像)これは上記のさらに2分後です。A上の戦艦をさらに1隻フォーカスし、Aエリアは完全に自軍のもので確定しました。クレムリンは落ちてしまいましたが、実質的にクレムリン1隻の損害で島風、ジナン、モンタナを落とせたのは大戦果でしょう。またCサイドも敵が中央に戻ったのを見てうまくリプッシュの構えを取っています。

 

最終局面では上記のようにマップの約75%の領域が自軍の制空支配下となりました。基本的に65%以上を取れた試合というのは負けません

筆者の試合中のアクションとしては
1枚目~敵駆逐2隻(島風・ハランド)のスポット、ナポリプッシュへの対応
2枚目~中央の防空対応、敵ジナン・島風への火力支援
3枚目~Aサイドの敵戦艦への追撃、BC艦の敵スポット
となります。Aサイドを自軍で固定し、Aの戦力をうまくB~Cに向けられるように、スポットでの支援を行っています。クロス位置を取れない地点まで敵戦艦を下げることを忘れてはいけません。

このケースのように両サイド(≒全戦線)が拮抗状態に近い場合には、自軍側の火力効率・姿勢を第一にしいち早く片側戦線の打開を達成することを目標にすると上手くいくことが多いです。

 

上記は空母としても対応方針が比較的わかりやすいケースかと思います。

 

 

2試合目~戦線を時計回り・反時計回りに動かしながら、そのスピード差で有利を作る

このケースは1試合目のケースと似ている部分も多いですが、異なる点は片側は敵に押されることを前提としている点です。1試合目では両サイドが完全に突破されない(C側の方にも戦力が十分割かれていた)一方で、この試合はA側の一時的な突破については許容します。

上記は開始4分時点での制空領域を図示したものとなります。一見マップの6割強を自軍で取れていますが、中央の白色領域は構成要素が駆逐2隻のため脆く、敵空母の動きや大型艦の動きでひっくり返る不安定な領域です。またこの時点でA側の見方が視界不良と戦力差から撤退しており、シュリーフェンの突破次第で大きく崩れる兆しがあります。
※1試合目でルプレヒトの火力に対する脅威について記述しましたが、独戦が副砲込みでのプッシュを行う場合は脅威と判断します。

このことを考慮し、Bエリアを中心とし時計回りに戦線が動くことを前提として戦況を作っていきます。

 

先ほどの画像からおよそ1分半でこの戦況となりました。敵シムイとの会敵で駆逐2隻が下げられ、A側の戦線も大きく後退しています。

赤矢印が敵の予想される進行です。青矢印は味方が進行すべきルートです。空母としては適切に防空・スポット支援・火力投射を行い、赤矢印の進行と青矢印のスピード差を生むことが最大の役割になります。

 

ここでは申し訳ないですが10戦場であることを考慮し回復のないアマルフィやバヤールへの積極介入は行わず、戦艦を主軸として組み立てを行います。
具体的な手順は
コロンボ・出雲の生存のための防空
・駆逐2隻に対する防空による援護・敵駆逐のスポット
・Cから撤退している敵艦艇への追撃

となります。

 

これは先ほどの画像からさらに2分後です。アラスカと大和にフォーカスを行ったためヴィンセントのリプッシュがありますが、その前後は大きく空いているためここさえ落とせばCは完全に安全圏です。また出雲コロンボはフォーカスされましたが、防空面ではシャットアウトしているためこの時点で生存しています。

A側の敵はまだ外を回り切れていない(シュリーフェンが突出しているため容易に撃沈可能な)一方、味方のCサイドは固い防衛陣形をしけています。
空母介入によって敵のプッシュは足並みがあっていない一方で味方の撤退戦は非常にうまく行き、C側もエリア内に進出した高めのラインを維持できていますね。

制空領域的には上記のように盛り返されていますが、先述したようにヴィンセントとシュリーフェンはすぐに落とせます。その場合その周辺に敵艦が存在しないために空白地帯となります。そう考えれば敵の戦線が低いことがよくわかりますね。

戦力配分に偏りがある場合には、押す側・押される側をしっかり把握し、進行と撤退のスピード差を意識しながら常にエリアの優勢を保つ(最低でも拮抗)ことを意識するとうまく戦えます。

 

3試合目~母艦を基準としたプッシュ(パワープレーでの制空確保)

上記の画像は試合開始3分半での戦況です。味方は両サイドに展開しており、敵も両サイドに寄ってはいますが、中央に高隠蔽高対空巡洋が進出する兆しがあります。味方の射線がなく、B島に着かれる場合にはBの上空が敵になるため制空領域で不利になります。

そこで母艦を大きく再度に寄せ、空母の圧力配分を変更することでこの状況を打開します。1,2試合目でも母艦はどちらかに寄っていますが、大きく異なる点として「最初の2試合は試合の優勢な流れをより効率的に進めるために母艦を動かしている」ことに対し、この試合は「母艦をトリガーとして戦線の歪を修正している」点です。基本的に序盤での母艦上げはリスクも高いためあまり推奨されませんが、不利な試合ではリスクを取ることも必要です。

分艦隊が陣取り火力期待値の高いCサイドを押し上げます。このマップはAが多少の戦力差があっても遅滞しやすいというのも理由の一つです。
またAは持久戦による踏みあい、Bエリアは干渉手段が乏しく被占領になるため、確保済みのCを確定させてエリアの均衡を保つ狙いもあります。
ここで空母がやることはただ一つです。
・圧倒的な高レートによるすり潰し

ナヒーモフは顕著ですが、どの空母でも母艦距離が~12kmまでくると実レートは戦艦に匹敵するレベルになります。スポットと制空領域の拡張から敵の感じる圧力はそれ以上です。

 

(ちょっとやりすぎな気もしますが)

上記画像から役2分ですが、母艦がC外を取り切り高レートで敵の戦艦を潰し切りました。火力不利となるため敵の巡洋・駆逐は撤退しています。特に島裏の高対空艦高梁を剥がせたのは大きいです。

制空領域的にはまだ不利ですが、Cの敵は耐えることは厳しいためAの敵の押し上げに呼応する形でCを押し上げ、占領不利ではありますが戦線的には競り合いの形を維持できています。

ここで読者の皆さんに想像していただきたいのが、母艦が初期位置付近であった場合の戦線です。Aへの干渉力は高まりますが、この時点で0-2交換していることからA側艦艇の判断のまずさはあったといえるでしょう。加えて中央の巡洋のせいで正面方向への艦載機航路は絶たれているため、空母としての選択肢が潰されている中でAも不利になった場合に、はたして敵空母と対等に戦えるでしょうか。

当然結果論ではありますが、リスクを取ったことでうまく修正ができた試合だと思います。

 

先ほどから3分半後です。敵空母もきちんと優勢側に母艦を押し上げていますが速度差でこちらの戦況が傾いていますね。この状況ではBエリアは被占領ではありますが母艦の距離感と味方は位置から拮抗状態以上とみなせるでしょう。

 

最終的にAは殲滅されましたがこちらの殲滅スピードが勝りました。

不利を察した場合には母艦を大きく動かし、母艦・艦載機のヘルスを払い出してでも戦線を修正する必要があります。ただ待って淡々と試合を進行しても負ける試合はそのまま負けます。

 

今回は抽象的な内容なので少し難しかったかもしれません。
ただ実戦での戦線は生き物なので、ケースバイケースというのが正直なところです。代表的な3例を持ってきました。

3試合目に近い形の動画があるのでこちらもどうぞ。

www.nicovideo.jp

正直ようわからん!って人はここまで意識しなくても大丈夫です。(最初に書くべきでは?)
これを実践するにあたって、ベースとなる「攻撃の精度」「効率的な索敵」はもちろん必要ですし、これらの方が汎用性は高いのでまずはこちらの練度を高めることを推奨します。

 

読んでもわからないけどこの記事のことは理解したいという方は最近各所で行われている有識者によるコーチングを受けるのもオススメします。