制空の部屋

空母の時代は終わった、競馬の時代だ

Warld of Warships T10空母所感~Admiral Nakhimov編

シリーズ2筆目はツリー空母としては最新であり、また今までの空母に関する調整の集大成であるソ連T10空母Nakhimovです。

少し見にくいですが、↑はT10空母のサーバー統計です。Nakhimovに顕著に表れている点としては、「ツリー空母5隻の中で圧倒的に高い平均ダメージ」(なんならインメルマン超え)、「際立った平均撃墜数の高さとキルレの低さ」の2点でしょう。

撃墜数の高さは主に敵空母からの母艦狙いによるものであり、それに伴いキルレが下がる(母艦が沈むため)という仕組みです。火力にリソースを割いている分装甲がない、いわば火力全振りキャラです。

Nakhimovの総評

Nakhimovは火力勝負を仕掛けるのが得意であり、とりわけ中・大型艦に対する単発攻撃力に関しては他を寄せ付けないものがあります。そのためダメージレースを優位に進めながら、時折偵察・けん制を絡めた支援を行うといった、火力投射を軸とした運用に秀でた空母です。リンク先の検証結果(海外CCによる記事、中国語)

https://forum.gamer.com.tw/Co.php?bsn=21052&sn=78589&subbsn=6&bPage=0

にもあるように、他の空母と比べ10km~17kmにおける火力効率が良く、それよりも遠距離になる場合には他の空母と効率面での差がなくなります。一方で母艦装甲は他国に比べかなりの脆弱性があるため、母艦の位置取りについて他の空母よりも意識を向ける必要があります。

ソ連空母の特徴である発艦時の推進ブースターにより一定距離までであれば他国に類を見ない到達時間となります。巡航速度が低いため、距離が遠くなるにつれでここで稼いだ時間的な貯金を消費していく図式です。

下記リンクは実戦動画、母艦のラインによる圧倒的火力がハマった試合です。

www.nicovideo.jp

以下筆者による各兵装の運用法などになりますが、盤面構築を主としたスタイルとなります。火力をメインに押し出すスタイルについてはリンク先(海外CCによる記事、英語)の記事のほうが参考になりますので、こちらも一読するとよいでしょう。

Personal Opinion: How to Admiral Nakhimov : WorldOfWarships

先述しましたがナヒーモフは母艦装甲が脆弱です。大きな要因として①バイタルが巨大であり、かつそれを覆う装甲厚が十分でない、②甲板装甲が50mmのため、の2点が挙げられます。このことを念頭に置きながら母艦の位置取りを決める必要があります。母艦の安全性を担保する一方で、安全上の脅威となりえる苦手な艦種の処理をどうするかということは頭の片隅に置いておきましょう。

Midwayでも書きましたがNakhimovの攻撃の優先度(プライオリティ)は、艦種でいえば
戦艦≧重巡>>軽巡≧駆逐

状況で整理すれば

①一中隊でキルが期待できる艦艇
②ダメージ期待値の高い戦艦
③キーポイントに在する艦艇(駆逐除く)+ダメージ期待値の高い重巡洋艦
駆逐艦or軽巡

のようになると思います。
保有している残機にもよると思いますので、大まかには
攻撃機→①、③、④
雷撃機→①、②、③
爆撃機→①、②、③、④
基本的にどの兵装も万能(雷撃が高機動の相手に対して厳しい)ですが、対小型艦は爆撃以外での命中期待値が著しく低いため注意が必要です。味方の射線等を意識しながら効果的なタイミングでの処理が必要となります。

以下、これらの理由について兵装ごとに簡単にまとめていきます。

 

※Nakhimovは中隊数=攻撃小隊数という特殊構成のため、一回の最大投下数も兵装名の横に記載します。

1.攻撃機(攻撃小隊8機、最大投下数32本)

ロケットの注目すべき点としては貫通力:40mmで、これはほぼすべての巡洋艦と一部戦艦の甲板装甲を貫通であり、T10空母攻撃機搭載のロケットの中ではアメリカ空母のTiny Tim(68mm)に次ぐ貫通力を誇ります。また散布界が他国に比べ横に長いため、対大型艦においては複数火災の可能性も高く他兵装と連携もしやすい兵装です。一方で攻撃後のディレイがおよそ6秒と長いため回避可能な相手に対しての命中率は悪くなります。状況によっては駆逐・軽巡も狙えますが基本的には鈍重な戦艦・重巡を狙うことをお勧めします。(可能であれば甲板装甲厚≦40mm)

ダメージ期待値としては米(モンタナ・オハイオ)・英・仏戦艦が最も高く、狙い方によっては2万以上のダメージ+複数火災を望めます。甲板装甲厚が41mm以上の場合も命中数の暴力で艦種・艦尾+上位構造物への貫通ダメージと火災を望め、1万近いダメージは出ます。(区画消耗を無視した場合)

偏差の取り方としては
駆逐艦:船体1個分~2個分
巡洋艦:船体0.5個分~1.5個分
・戦艦:船体0.3個分~1個分

ただ先述したようにディレイ6秒の関係から駆逐は機銃掃射後の回避が可能です。あくまで参考程度に。

これは爆撃にも言えることですが対空砲を破壊する力が強い(爆風ダメージが高め)なため同じ艦艇を続けて狙う場合には攻撃機or爆撃機を先に使用することを推奨します。

1枚目はスタグラ狙いで偏差は船体1個分前ですが、これでダメージは9400(11/15貫通)+1火災でした。

2枚目はジナン狙いで、16000ダメージで撃沈(18/19貫通)でした。偏差はスタグラと同じく船体約1.1個分(船体が小さいため絶対距離はスタグラと同じ)ですね。

3枚目はサンダラー(甲板32mm)狙いで、21000ダメージ+2火災、偏差はだいたい船体0.7個分です。期待値が高い艦艇に対して横から狙えれば12000↑は安定します。

攻撃機はNakhimovのメイン兵装の一つであり、基本的には反跳爆との併用で運用していくことになります。攻撃姿勢の関係上爆撃機よりも消耗をしやすい点には注意が必要です。巡洋艦と戦艦にはかなりの脅威度があり駆逐に対しても当てさえすれば大ダメージが期待できるという点で常に1中隊は出せる準備をしておきたい兵装です。
一方で散布が広い関係でMidwayのように区画を意識する必要がないため狙いどころというよりはとにかく命中本数を上げる意識を持ちましょう。

Nakhimovの場合、与ダメが伸びるかどうかはこのロケットの命中率・貫通率と雷撃の運用効率が大きなウェイトを占めます。一方で終盤に向かうにつれて区画耐久の関係からダメージ効率が悪くなっていくという点にも注目です。ただ元のダメージ期待値が高いためにダメージ効率についてはそこまで意識する必要はありません。

 

2.爆撃機(攻撃小隊7機、最大投下数7個)

爆撃機は貫通力54mmという何とも微妙な貫通力ですが、50mmを超えているため最低限の貫通を望めます。一方で反跳爆撃の宿命としてほぼ水平方向からの攻撃となるため、水雷防御区画へのヒットや装甲帯へのヒットが発生してしまいます。また前後方向への散布界もそれなりに大きいため狙うには少しコツが必要です。
一例ですが
・鈍重な戦艦相手は3段目の跳ねた後に敵に当たるくらいの偏差を取る
=3段目のラインが敵の舷側より手前になるあたりで投下する
巡洋艦相手の場合は4段目で敵の向こう側の舷側に当てるくらいの偏差を取る
=4段目はそのあとの跳ねがないため少し奥目偏差のほうが命中率が良い
等のダメージの期待値を高めるための変化があります。
Nakhimovの3兵装の中では一番駆逐に対応できる兵装でもあるため、駆逐の枚数によってある程度攻撃に使用する頻度を調整する必要があります。

注意点としては、1段目で当てに行く場合に地形を利用して島裏からの攻撃を行う場合に、その投下高度が高すぎる場合には反跳が発生しない点です。これはレティクルを示す直線が緑色(反跳あり)かオレンジ(反跳なし)で判断可能です。

偏差の取り方は段数に寄りますが、4段目基準なら上記の攻撃機の偏差と同様でいいと思います。3段目ならそれよりマイナス0.3個分程度減らす、2段目なら0.8個分減らす…という具合に調整は必要です。縦向きで侵入しても1~2発の命中は期待できるので奥向きのおおよその偏差もつかんでおくと活きる場面があるでしょう。

対戦艦の偏差、大和はそこまで速くないので0.8個分くらい。

巡洋艦の偏差ですが停止状態なのでほぼなし、奥行きはこれくらいを意識する。

対駆逐はあくまで一例ですが3段目で1.8程度(仏駆なので)、これは4発命中。

反跳爆撃はNakhimovにおける対駆逐の実質的な唯一の対抗手段であるという側面もあり、また先述した対空砲の破壊にも有効です。爆撃は密集地域でなければ損耗率が低いまま有効打を出せるため、困ったら爆撃機を発艦という選択が割と通じます。しかしながら試合終盤に残る敵艦が何になるかを見極め出撃頻度の計算は必要です。

 

3.雷撃機

雷撃は一度の投下数が7本と全空母中2番目の多さを誇りますが、1本あたりのダメージはかなり低くまた雷速も遅めです。レティクルは他国に比べ極小であり信管作動距離が他国より長いため、真横からの侵入であっても回避可能な相手に対してのダメージ期待値は低い一方で、縦向きで回避を行わない艦艇に対しての期待値は高くなります。この部分はソ連空母ならではの面でもあるので注意が必要です。

特に艦首・艦尾からの投下での命中の場合、水雷防御区画を外した命中になることが多く浸水率は見かけよりも高くなります。
真横からでも複数命中すれば数の暴力で浸水を期待できます。基本的に単独運用ではなく、攻撃機爆撃機とのコンボや他の艦艇の砲撃と合わせた運用が効果的です。

雷撃に関してはしっかり偏差を取ること以外で狙い方に注意点はありませんが、前半は温存し後半敵の陣形がばらけた際にすでに対空砲を損耗させた戦艦や巡洋艦相手に投げる運用が効率的でしょう。

対戦艦は偏差的にはこれくらい、しっかり当たる確信がある場合は絞り切らないほうが水雷防御を外せるため期待値は上がる。この攻撃はおよそ12000ダメージ+浸水1。

巡洋艦で角度はそこまでよくないがこれは4本命中+浸水1で9000ダメージ程度。

フルヒットするととんでもないダメージが…

雷撃機は条件がある程度揃わなければ効果的に運用することは難しいものの、対戦艦における影響力とダメージポテンシャルは随一です。攻撃機の項目でも記述しましたが、ダメージを出すためには雷撃は不可欠であり、この雷撃を効果的に運用できる状況を作り出すことがNakhimovを使用する上での試合全体におけるコントロールの目標かもしれません。

また、敵艦に対して縦方向からの攻撃になる場合には最も期待値が高い兵装になります。狭い海峡などに入られた相手に対しての唯一の対抗策にもなりうるため、特定のマップにおいては重要度が跳ね上がることも頭の片隅に置いておきましょう。

 

戦闘機の使い方は前回書いたので省略しますが、Midwayと異なる点としては対面にリヒトやインメルマンを引いた場合、母艦が狙われる可能性を考慮しやや自衛よりに戦闘機を使用する必要があります。

筆者の艦長スキルとアプグレは以下の通り。あくまで一例ですが、1枚目(制空)2枚目(汎用)です。1枚目はかなり独特な運用でもあるため推奨はしません。

2枚目は比較的マイルドな構成です。照準化と爆発物専門家であれば爆発物専門家を優先しましょう。火災を起こす可能性のある兵装の投下数が多いためこちらの方が効果が大きいです。

取得順としては制空権(1P)、エンジン改良(2P)、耐久系3種(計10P)は最低限揃えたいところです。爆発物専門家が時点で、安定化は取得推奨ですがなくても大丈夫です。ただ他のスキルでそこまで効果のあるものが多くないので隠れた脅威(4P)や近接信管(4P)など選択肢は多いと思います。

アプグレは下記が一例ですが、スロット4、5は選択肢があると思います。スロット4は攻撃機or爆撃機のヘルス強化ですが、これはどちらをより使用するかのスタイル依存です。スロット5は母艦の狙われやすさから隠蔽を取ったり、艦載機のもろさを補うために航空管制を取ったりと工夫があります。消耗品改良は戦闘機の時間+エンジンブースト時間が伸びるため個人的なお勧めです。スロット6は耐久強化よりも速度強化を強く推奨します。これは発艦後の推進ブースターに対しても効果が発揮されるためです。基本的に発艦回数が15回を下回ることは圧勝以外ではないと思うため効果が大きいです。

 

以上Nakhimovの解説でした。艦載機の攻撃性能だけで言えばTier10.5程なのでこの空母相手に近~中距離で火力勝負できる空母はいないと思います。ゆえに母艦が狙われやすいのかもしれません。とにかく母艦の位置(距離感)が大事ですので、火力で勝負できるからこそ盤面のコントロールが勝利のために必要になるテクニカルな艦艇かもしれません。(単純に殴るだけでも十分勝てるが)

次回はたぶんオーディシャスになりますが、その前に何か別視点の記事も書くかもしれません。長文にお付き合いいただきありがとうございました。